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谷崎潤一郎の途上を読んだ感想。読書が苦手な人にもおすすめできる超短編・犯罪小説【青空文庫】

『放送禁止7 ワケあり人情食堂』のエンドロールで書籍協力として掲載されていたうちの1冊、谷崎潤一郎さんの『犯罪小説集』に収録された小説『途上』を読んだので感想メモです。

 

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くまおり純さんのイラストが素敵な文庫本、これならブックカバーいらないかも。

 

谷崎潤一郎の途上は青空文庫で読めます

たまには文庫本で読むのもいいですが、すぐに読みたかったのもあり、青空文庫で読みました。家にいながら、無料で文学作品が楽しめる青空文庫はすごいですね。

谷崎潤一郎 『途上』 (青空文庫)

 

お好きな形式で読めるように図書カードにリンクを貼っています。私はダウンロードするのがめんどくさいので、いつもブラウザで読んでます。

 

谷崎潤一郎の途上の感想

分量も少なく短そうだなと思ったら、20分もかからず読了できました。

その割に内容は濃いというか、「短いから薄っぺらい」とか、「分量が少ないから退屈」とかそういうことは全くないところがすごい。

なるべくネタバレなしであらすじを書くとすれば、人事課で働くサラリーマンの主人公がお給料日の帰り道、愛する奥さんに何かプレゼントでも買って帰ろうとほくほく帰路についている途中、探偵を名乗る見知らぬ男性から声をかけられ、社内の人間の素性について聞きたいと依頼されたが最後、平和な日々が覆されるストーリーって感じです。

全編を通してほとんど相手方の男性が話をするだけで、そこで事件が起こるわけではないのですが、まさかそんな展開になるとは思わず、意外や意外というところで一気に終盤まで引き込まれるので、気になる方はぜひ読んでみてほしいです。

読むのがゆっくりな方でも1時間もあれば読めるのではないかな?と思います。

休み休み読んでもいいですしね^^

 

途上は放送禁止7の元ネタ??

谷崎潤一郎氏の『途上』を読んだきっかけは、書籍協力としてクレジットされてたことに加えて、『放送禁止7 ワケあり人情食堂』の元ネタという情報を見つけたからなのですが、

この作品は、クレジットに記載されていた残り2冊の書籍、江戸川乱歩氏の『D坂の殺人事件』と松本清張氏の『黒い画集』に収録された物語の元ネタにもなっているぐらい影響力のある作品のようです。

実際、江戸川乱歩氏の『D坂の殺人事件』の中には、登場人物がこの作品(途上)について言及するシーンがあります。(今読んでいるところですが、こちらも分量少なめで面白いですよ)

で、実際に谷崎潤一郎さんの『途上』を読んでみて、本当に放送禁止・答々食堂の元ネタだったのかというと、そんな気がします!

答々食堂でグエンを暗殺する際に使用した手口など、実際的な面ではなく、ワケあり食堂の女将がモットーとする「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」だったり、答々食堂のワンシーンでのメニュー表の頭文字『具うぜんをよソおってあんさつせよ』という精神的なスタンスが同じだなぁと思いました。

『途上』は『放送禁止7』よりもっと微妙で繊細な方法を選んでいるのも興味深いです。

というわけで、ミステリを普段読まない方も、本自体読む習慣がないという方も、放送禁止シリーズが好きだったら楽しめる小説だと思います。気になる方はぜひ一度、読んでみてください^^

気になる放送禁止シリーズ